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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

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随筆 第二回 「 よくもまア 」

 今から2年前、当社にこんな連絡が入りました。

 1年前に施工したMさんの奥さんから、「瓦がずれているようなので見に来て ほしい、瓦からの水の落ち方も変わってきたみたい、とも言われているよ」
 私は首をかしげ、「おかしいなア」と思いつつ、翌日M邸へ行きました。
 Mさんにお会いする前に塀の外から見える範囲、平屋の瓦を見ましたが何の異常も見当たりません。
 「おはようございます。ご迷惑をおかけして、すみません」 といって、Mさんにお会いして状況をお聞きしました。
 奥様がおっしゃるには、「先日、屋根修理屋さんで50歳前後の人のよさそうな営業マンが来て、『いい 瓦を葺いておられますね』と言ったんです。私が、『1年前に知り合いの工事会 社に頼んで葺き替えて貰いました』と答えたら、『でも、瓦がズレていますよ』 と言われたんです。私はびっくり仰天してしまいました。
 『うちで直させて下さい』とねばる営業マンには、何とか帰ってもらったんです。それで、その3日後に御社に連絡しました」との事でした。
 「水の落ち方の変化はどうですか?」とお伺いしたところ、「『ズレている』と言われ、その様な気がした」だけで、実際、異常は全くあり ませんでした。

 この営業マンのM邸での手口はこうです。
① 先ず、既存の瓦を誉める。
②瓦がズレている。
と言いその証拠として、
軒先の瓦を一緒に見上げ、自信た っぷりに「ほら、樋の方へズレて出て来ているでしょう」
奥様は「あら、本当だ!」
③「安くしておきますから、直させて下さい」とねばる。
④OKがでれば、「施工」する。(これは未遂に終わる)
 このM邸の瓦葺き替え工事は、わが社がお世話になっている協力業者の光本瓦店(有) で施工した もので、「引っ掛け桟瓦葺き」工法で行っています。

 これは、屋根に横に渡した 桟木に瓦を一つ一つ引っ掛けてクギで固定していくもので、“ズレるはずがな い”のです。
 Mさんには、この竣工図と工事写真を工事完了後にお渡ししてありましたので、 取り出して頂き、ご説明すると、「(あの営業マン)よくもまア!」 と怒り心頭でした。

 私は、営業マンを帰してからの3日間、Mさんはどのような事をお考えになっていたのかな、わが社の施工を心配されたかな、と思うと、もっと施工した内 容を詳しくご説明すべきだった、と思っています。

 悪徳業者は「悪徳な顔」をして家を訪問していませんので、くれぐれもご用心。


石山テクノ建設株式会社 代表取締役 石山孝史


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