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VOL .3 地震のあれこれ


目次


1.地震の原因

 ① 地球の構造
 地球は、モデル化すれば、卵に似ています。地球の形は遠心力の影響で赤道まわりが少しふくれた楕円 形の球です。
 楕円形といっても赤道の直径と両極を結ぶ直径の差の、赤道の直径に対する比率(これを偏 平率という)は約300分の1で、見た目には円といえます。
 球の半径は6400kmで、卵の殻にあたる部分であ り、私たちが常々不動の大地と思っているところは地殻と呼ばれ、その厚みは海洋部分で平均5km、大陸 部分で30kmであり、正に全体から見れば薄皮一枚の感じです。




 地殻の下にある物質はマントル(包むという意味)と呼ばれ、その厚みは約2900km、また地球の中心部分 を構成するものは核で約3500kmの半径です。

 地球の内部に向かって掘り進んでいくと徐々に温度は上がり、一般に深さ100kmのところでは1000℃~1500℃になります。
 したがって地殻の下にあるマントルは、かなりの高温・高圧の状態の物質であると考え られます。
 地球物理学によるとマントルは、下図の様に対流という動きをしており、太平洋海底は年間数 10mmずつ拡大して日本列島とアメリカ大陸にぶつかる所で地球内部に潜り込むことが証明されています。




 ②地震の原因

 マントル対流により地殻が沈み込む(図-2参照)ことにより生じる体積ひずみが限界に達して、ある瞬間 にひずみエネルギーが一挙に開放される現象が地震といわれているものです。(図-3参照)
 ただしこの考え方は、地震原因についての主な考え方ではありますが、地球上の全ての地震についてこ の考え方だけでは証明できない様です。




2. マグニチュードと震度

 地震の強弱を示すのに、マグニチュードや震度という言葉で表します。
 「マグニチュード8.0」や「震度6」の地震というと、大規模な災害を想像しますが厳密な定義というとあまり知られていないようです。
マグニチュード(magnitude)は、英和辞典によると「大きさ」という意味の単語です。
 恒星の光度を示す言葉でもあるようです。
 地震の大きさとして用いているマグニチュードは、1935年にアメリカの地震学者C.リヒ ターによって提唱されたもので、正確には「震央から100kmのところに置かれたウッドアンダーソン型地震 計の記録で、最大に揺れた時の振幅をミクロン単位で測定した値の常用対数」です。




 だだし、必ずしもその 場所に地震計があるとは限らないし、ウッドアンダーソン型地震計はあまり使われていないため現在では、 さまざまな地震計の記録を総合し、リヒターの定義にあてはまるように換算してマグニチュードを決めていま す。
 マグニチュードと地震のエネルギーとの間には相関関係があり、マグニチュードが1大きいとエネルギ ーは32倍にマグニチュードが2大きいとエネルギーは、1000倍になります。マグニチュードの大きさは、M6 といったようにM表示で表現されます。
 地震の大きさは、マグニチュードで示されますが、地表の揺れは、震央から遠いか近いかで異なってきま す。
 これを示すのが、震度です。
 震度は、0~7の8段階に合わせ、5と6の2段階に、強・弱の別をつけた 為、合計10段階で示されるようになりました。
 下表に気象庁震度階級を示します。

表1.気象庁震度階級関連解説表(理科年表 平成10年 国立天文台編による)
震度 人間に対して 屋内の状況 木造建物 鉄筋コンクリート建物
人は揺れを感じない。                            
屋内にいる人の一部が、わ ずかな揺れを感じる。                           
屋内にいる人の多くが、揺れを感じる。眠っている人の一部が、目を覚ます。 電灯などの吊り下げ物が わずかに揺れる。                  
屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。 棚にある食器類が、音を立 てることがある。                  
かなりの恐怖感があり、一部の人は、身の安全を図ろうとする。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 吊り下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が倒れることがある。                  
5弱 多くの人が、身の安全を図ろうとする。一部の人は、行動に支障を感じる。 吊り下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることもある。座りの悪い置物の多くが倒れ、家具が移動することがある。 耐震性の低い住宅では、壁や柱が破損するものがある。 耐震性の低い建物では、壁などに亀裂が生じるものがある。
5強 耐震性の低い建物では、壁などに亀裂が生じるものがある。 棚にある食器類、書棚の本の多くが落ちる。テレビが台から落ちることがある。タンスなど思い家具が倒れることもある。 変形によりドアが開かなくなることがある。 一部の戸が外れる。耐震性の低い住宅では、壁や柱がかなり破損したり傾 くものがある 耐震性の低い建物では、壁、梁、柱などに大きな亀裂が生じるものがある。耐震性の高い建物でも、壁などに亀裂が生じるものがある。
6弱 立っていることが困難にな る。 固定していない重い家具の多くが移動、転倒する。開かなくなるドアが多い。 耐震性の低い住宅では、倒壊するものがある。耐震性の高い住宅でも、壁や柱が破損するものがある。 耐震性の低い建物では、壁や柱が破損するものがある。耐震性の高い建物でも、壁、梁、柱などに大きな亀裂が生じるものがある。
6強 立っていることができず、は わないと動くことができな い。 固定していない重い家具のほとんどが移動、転倒する。戸が外れて飛ぶことがある。 耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。 耐震性の低い建物では、倒壊するものがある。耐震性の高い建物でも、壁や柱が破破損するものがかなりある。
揺れにほんろうされ、自分 の意志で行動できない。 ほとんどの家具が大きく移 動し、飛ぶものもある。 耐震性の高い住宅でも、傾 いたり、大きく破損するもの がある。 耐震性の高い建物でも、傾 いたり、大きく破損するもの がある。


3. 津波のしくみ

 津波は地震で海底が動き、それが海水に伝わって波として押し寄せるものです。
 その規模は地震の大き さと深さに関係していて、ほぼM6以上の地震で発生するとされています。
 またそれ以外に津波を大きくさせる要素が海底の深さと、海岸等の地形です。
 海岸等の地形によってどう津波が大きくなっていくかを 下図に示します。




4.地震の伝わり方

 津波が海面を伝わる波なら地面を伝わるのが地震波です。
 地震波の主なものは、縦波と横波です。  縦波は別名P波(Primary-第一のという意味の頭文字をとった)とも呼ばれ、体積が縮んだり、 ふくらんだりすることによって伝わる波です。
 縦波の代表例は、空気中を伝わる音波です。
 縦波は振動の方向が波の伝わる方向と一致しているので縦波といいます。
 横波は別名S波(Secondary-第ニのという意味の頭文字をとった)とも呼ばれ、体積の変化では なく、ずれ変形によって伝わる波です。
 振動の方向が波の伝わる方向と直角なので横波といいます。
 地震波の伝わる速さは岩石の種類や状態によって変わります。
 通常の岩石であれば、縦波はおお よそ毎秒5km、横波はおおよそ毎秒3kmという速さで伝わります。
 100kmもの遠くから地震波がきた 場合でも、縦波では約20秒、横波でも30秒余りしかかからない計算になります。
 P波(第一の波)、 S波(第二の波)と呼ばれるのは、この到達時間の違いによるものです。




 普通は、横波の方が縦波より揺れが大きく主要動と呼ばれます。
 始め、速度の速い縦波によって 小さく揺れ始め、横波が着いてから本格的に大きく揺れます。
 地震波が遠くから来ているほど縦波 と横波の到達時間の差が大きくなります。
 2種類の波の到達時間差から地震波の源までの距離を推 定することができます。
 下図に参考として一般的な地震波を示します。




5.活断層とは

 活断層は、断層の1種です。
 断層とは、地質学的にいうと「1つの面を境にして2つの岩体が相対的にず れている場合の現象」をいいます。




 地下ではごく小さな岩石の破壊は頻繁に起きているようです。
 3章で述べた地震の原因(この事がそも そもの起因になるのですが)の他に大きな断層に関係した岩石の破壊により地震が起こる事もあります。
 1995年の兵庫県南部地震がその例で海溝型地震に対して内陸型地震といいます。
 このタイプの地震は、 内陸の浅い所で発生するために、地震の規模が海溝型地震に比べて小さくても、大被害をもたらす事が あります。
 兵庫県南部地震では、「直下型地震」という名称が有名になりましたが、これは都市直下で発生 した内陸型地震についてマスコミが使い始めた言葉です。
 活断層とは、最近の地質時代にくりかえし活動し、将来も活動することが推定される断層をいいます。 活断層という言葉から受ける第一印象では、動きつつある断層であると考えられがちですが、たとえば、 毎年動いている断層は、日本では知られていないようです。
 活断層とはいつか再び動くであろうと判断され るものをいい、現実に活動しているわけではありません。
 活断層かどうかの判断の目安になる第一の事項は、近い過去に活動したかどうかということです。
 近い 過去といっても50万年~200万年前の事をさしています。


6.液状化現象

 液状化とは、ふだんは、しかっりした地盤が地震によって泥水状態になることをいいます。
 下図に液状化 のメカニズムを示します。




 液状化はどんな地盤でも起こるのではありません。
 岩や粘りのある粘土からなる地盤では液状化はほと んど起こりません。
 液状化が発生するのはゆるく堆積した、さらっとした砂を主体とした地盤です。
 又、液状化は水で満たされた地盤でしか発生しません。
 地震により地盤中には大きな水圧が生じます。
 地震動の継続時間は10秒前後ですが、この間に水圧が上昇していくのに伴い、砂粒間の結びつきがゆるめら れ、ついにはそのスクラムが完全にはずされて液状化に至ります。
 液状化が起こると地盤は、泥水状態になり、地割れ、噴砂、陥没、沈下などのいろいろな現象が発生し ます。「噴砂」とは、砂や水が地盤の弱いところを突き抜いて、地表面に噴き出す現象です。


7.まとめ

 日本は、世界の内でも非常に地震の多い国の1つです。
 もちろん地震に対する研究も進んでいるようです。
 ただし未だ、「いつ地震がおこるか。」、「今後どの程度の地震がおこるか。」という事を正確に知る事は、 困難な状態のようです。
 「地震は、突然に前触れもなくおこる。」この事が昔から恐いものの4つ「地震、雷、 火事、親父」のうちの1つにあげられている要因ではないでしょうか。
 地震に対しては、日頃から心がけをしておく事が大事です。
 家庭においては、下記のような心がけを常に 持っておけばいいのではないでしょうか。

 1.建物が、地震に耐えるか知っておく事。(建物の耐震診断等を行う。)
 2.寝る場所や幼児、老人のいる所には、家具や重いものはなるべく置かない。
 3.重いものは、高い所に置かない。
 4.出火を防ぐため、台所をはじめ火気を使う場所の内装は、燃えにくい材料にし、可燃物を遠ざける。
 5.食料、飲料水、救急医薬品、ラジオ、懐中電灯などを非常持ち出し品として用意しておく。
   (阪神大震災の経験で非常食は家族3日分、水は1人1日3リットルで最低3日分が必要)
 6.家庭の防災会議を開いて、災害時の老人・幼児の保護、持ち出し品の搬出などの役割分担や、家族    が離れ離れになった時の連絡方法と集合場所などを決めておく。
 地震は地球にとってはほんのひび割れにすぎませんが、我たちにとっては命さえ危ぶまれる現象です。
 地震による災害を最小限に押さえる事、これが今、私たちが各々考えていく事だと思います。


参考文献)
 阪神大震災の教訓(日経アーキテクチュア)
 建物と地震災害 竹内吉弘・島田耕一著(学芸出版社)
 巨大地震と大噴火 伊藤和明監修(世界文化社)
 地震と活断層の本((株)国際地学協会)
 欠陥建築が死を招く(青谷社)
 液状化はこわくない 渡辺具能(山海堂)
 理科年表 平成10年 国立天文台編(丸善)




トチオ構造設計室VOL.3


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