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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

TEL. 075-822-4377

〒604-8411 京都市中京区聚楽廻南町1番地

随想 第五回 「京都に未来の鍵がある」

 この不況で「♪100円ショップは大繁盛。安い牛丼・ハンバーガー、衣料のユニクロ庶民の味方…」 などと私の口から思わず自作の戯れ歌がでてきます。
 建物もご多分に漏れず「坪25万円から!」「驚異の坪35万円を実現!!」などがチラシに躍ります。
 今流行のテレビ“ビフォアー・アフター”の、なな、なんと、お安く工事ができること!
――これらは本当でしょうか?

 「安ければよい」という近年の風潮は困ったものです。
 “デフレだから”では済まされない問題があります。
 それは、適正な値段を見ない、キチンとした評価をしない考え方だと思うからです。
 利益の無い仕事では、仕事に関わる人たちの生活が支えられないし、会社も継続できません。
 会社を続けていかないと今までにお付き合いしている建て主さんにも迷惑をかけることになります。
 コストの低減に努力することは勿論大切ですが、「お金とかじゃない」「赤字覚悟で」というのは、かえって無責任だと思います。
 不況列島日本で、企業は生き残りに必死ですが、経済再生のヒントがこの京都にあります。

 京都の風土には、伝統工芸から受け継がれてきた「ものづくりの技術」と権威や権力に同調しないような反骨精神があります。
 また教育を尊び、昔から学生を「学生さん」と“さん付け”で呼ぶ街でもあります。これが独創的な起業家や技術者が多く育つ土壌で、いわゆる「京都企業」といわれています。
 ノーベル賞の田中さんで一躍全国的に有名になった島津製作所をはじめ、オムロン、村田製作所、堀場製作所、ロームなど当初ベンチャーであった多くの有名企業を輩出しています。
 京都の木屋町五条に「T」と言う料理旅館がありますが、その建物は築70年の総桧造り三階建(わが社が所属するZ組合のY工務店が建てました)で、夏の風物詩、四十四間の納涼床が有名です。(この床を毎年組立てているのは、同Z組合のI工務店です)
 昭和初期の建造ゆえ何の公的な補助も無く、建物の維持を全て自前でがんばって続けられているオーナーのT氏からこの建物の歴史と、防災面で消防署から“いじめられた”苦労話などをお聞きしたことがあります。
 また、創業313年、麩(ふ)製造販売の老舗のT会長からは、大量生産、品質低下の反省から焼き麩の手づくりを復活したお話をお聞きしました。
1日数千本をつくれる大量生産品とは別に1日100本が限度の手づくり品に、包装用の袋も手づくりで、1枚1枚会長が手書きで“おきばりやす”や“おかげさん”“おおきに”などの一言メッセージを添え「心の時代」に応えた商品づくりをしています。

 彼らの話から、伝統と文化を大切にし、権威や権力に組みしない京都町衆の心意気を強く感じました。
 京都の風土には「不易流行」(本質を変えず世の中の動きにあわせること)もあります。
 不況に負けない粘り強さも実感しました。
 「もったいない」と物を大切にする心、「間に合わせ」でない「ほんまもん」(本物)を使いこなし、使い尽くすのが京都の文化なのでしょう。
 この頃、こだわりとふれあいの飲食店や熟練活用型の個別・少量生産、人間が主役のものづくり、遊び心やゆとりなどを人びとは求め出しています。
 これは、いままでの画一的な大量生産の文明型の産業から、この長い不況を経て、個性を大切にする文化型の産業に日本は移り変わろうとしている表れではないでしょうか。

 生きていく為の利益――「適正価格」の追求や、働くことの充実感と働くことによる人間発達、技能・熟練重視、個別化・専門化の追求や地域密着型の経営など、京都には不況打開のヒントが詰まっているように思います。
 「京都に未来の鍵がある」との料理旅館のTオーナーの言葉をこころに焼き付け、住む人・使う人の個性を重視した、末永く“使い尽くして”いただける本物で安全な建物づくりに、わが社も努力して行きたいと考えています。


石山テクノ建設株式会社 代表取締役 石山孝史


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