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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

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随想 第六回 「“雨漏れ率”100%」

 先日京都府北部にある福祉法人の老人福祉施設Tに雨漏れの調査に行ってきました。
 その現場は、いまから一年半前に、中堅ゼネコンMが増築工事を行ったもので、  竣工直後に雨漏りの不具合が発生し、「何回も折衝を重ねたが埒があかない」ので 建築主の職員から、わが社に調査依頼があったものです。
 設計は京都市内にあるN設計事務所です。

 現場は、既存RC建物から鉄骨で下屋を伸ばし、2箇所増築してありました。
 正面玄関と反対側の部屋の増築でしたが、2箇所共雨漏れを起こしていました。
 なんと“雨漏れ率”100%です。

 正面玄関は折板(せっぱん)屋根に箱樋(はこどい)ですが、幕板(まくいた)で囲ってあり、  「ゴミは入るが掃除出来ない」欠陥構造でした。
 この個所は竣工後半年ほど経ってから漏れ出した、とのことで落ち葉が樋に詰まり オーバーフローしたのでしょう。
 この不具合に対し、職員の方から、「設計事務所とゼネコンで、責任のなすり合いをしていた」 とお聞きしました。

 部屋の増築個所では、既存建物から下屋を出し増築していますが、行った時は 雨漏れしている個所の天井材は一部撤去されており、バケツが置いてありました。
 また屋根には職員が設置されたブルーシートが覆ってありました。
 既存屋根材はシングル葺きで、設計図には既存部より1m上方まで撤去し新しいシングル葺きを するようになっており、見かけの施工は図面通り正しく行われていました。
 雨漏れの通知を受けたゼネコンMは調査と称して、屋根にホースで水道水を10分〜15分放水し、  「確かに漏れていることを確認」しただけ、だったそうです。
 建築主側は、「シングル葺きをめくって原因を調べてはどうか」と再三要請したそうですが、 言い訳に終始してそれを拒否したそうです。
 そして、ゼネコンMの提案で施工位置からさらに上方に1mほど、既存シングル葺きの上に 新しいシングルを貼っていましたが、これが役に立つはずがありません。
 その後も“しっかり”漏れていたのです。
 この個所の漏水原因は、シングル葺き下層のルーフィングの新旧繋ぎ処理に問題があると 考えられます。
 通常既存のルーフィングの下に新ルーフィングを差込み、上から流れてきた雨をスムーズに 下方へ流れるように施工しますが、この現場では恐らく逆に、既存のルーフィングの上に 新ルーフィングを貼り合せ、雨を受ける形に施工してしまい、剥がれた個所が漏斗の様になって 雨水を受け、雨漏れを起こしたのでしょう。

 なぜこのようなレベルの低い施工が行われているのか、建築主の施設長が、 「私みたいな素人でも石山さんの説明を聞けば直ぐに分かるのに、なぜN設計事務所や ゼネコンMは分からないのでしょうか」 と言われたのが印象に残ります。

 この不具合は、この業界が抱えている問題の現れで無責任体質に原因があります。
 プロ意識の欠如に原因があるのです。
 「相手に喜んで頂く」という仕事の基本的な姿勢が欠落しています。

 設計事務所の設計レベルの低さ、そして施工業者の施工技術能力と責任感の低さで、 問題が生じたとき責任のなすり合いをするのです。
 設計事務所は施工監理もするわけですから、工事に全責任を負うという姿勢が必要です。
 また、施工業者も施工に関し全責任を負うという姿勢が必要なのですが、多くのゼネコンが 品質管理よりも工程管理と原価計算(儲け計算)に走り、現場はきつい施工単価で発注した 下請け任せで、手抜きも見て見ぬふり、どころか現場もまともに見ていません。
 会社もクレーム対策費用の出し惜しみがあり、下請けに不具合を是正させる事すらできないのです。

 仕事を金儲けの手段と考えている企業では「人に喜ばれる」仕事はできません。
 「仕事を通じて人の役に立つ」という考え方があればこそ高品質で人に優しい建物が出来ます。
 利益はそのご褒美です。

 この大不況時代は“不良企業”が淘汰され、「建築主の喜ぶ顔が見たい」と真に考え、 行動する企業が21世紀を生き抜くことでしょう。


石山テクノ建設株式会社 代表取締役 石山孝史


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