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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

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随筆 第四回 「 古代の製鉄 」

A. 古代鉄の小史

@ 歴史の授業では、人類は前石器時代から青銅器時代をへて鉄器時代に至ったと教えられた。現在も鉄器時代の延長線にいる!!
 A 世界で最初に鉄が人工的に生産されたのはオリエント文明発祥地・ヒッタイト(現在のトルコ)と考えられている。その年代は紀元前1,200〜1,000年とされている。
 B 人類が最初に手にした製鉄原料は、砂金産地の砂に含まれていた砂鉄である。黄金を採取した副産物として鉄がえられたのである。
 C 製鉄の起源は、このような砂鉄を用いた坩堝(るつぼ)製鉄である。
 D 日本で、鉄の生産に先立って鉄器が最初に使用されたのは縄文時代晩期(紀元前四世紀頃)と云われている。(福岡県・曲り田遺跡の斧の東部破片)
 E 弥生時代前期末(紀元前二世紀頃)になると、鍛冶工房跡が発見されており、この時期に鉄製工具の製作が始まった。(福岡県・赤井手遺跡)
 F 日本国内で鉄の生産が始まったのは、弥生時代後期(三世紀)から末期(三世紀後半)にかけての時期。
 G これまでの通説と相違して、中国地方の古い時期は、鉄鉱石を利用した製錬炉が多く、砂鉄への変化の時期は六世紀後半頃のようである。(広島埋蔵文化調査センター)
 H 日本の文献上、「鉄」が初めて登場するのは、『日本書記』皇極元(642)年四月に鉄の延べ板を百済の使者に贈呈したとある。また、天智九(670)年九月に「水車で鞴(ふいご)を動かし砂鉄を熔かして製鉄した」とある。

B. タタラについて

 @ 普通「タタラ」というと足で踏んで空気を吹き送る大きな鞴(ふいご)のこと。
 A 漢字をあてると「蹈鞴・踏鞴」となる。踏むふいご。「多々良・多々羅」
 B 「たたらを踏む」(から足を踏む)という言葉の「タタラ」は、ここからきている。
 C 踏鞴を用いた製炉のことも「タタラ」といい、この場合は「鑪」という漢字をあてる。
 D 日本独自の製鉄・製錬方法、技術である。

 タタラ製鉄の原料および諸比率の例
 
 (1)俵国一「古来の砂鉄精錬法」(丸善,1993)
 (2)小塚寿吉、鉄と鋼、52 (1996)、1763
 (3)たたら製鉄復元計画委員会報告(1971)
 (4)鉄の歴史村地域振興事業団提供(1996年1月創業時の資料)

 E 1000年以上たっても朽ちない法隆寺の釘や日本刀の製作に欠かせない「玉鋼」を生んだ、砂鉄を原料とする日本伝統の製鉄技術である。
 F タタラの技術は、江戸時代に完成の域に達し、大規模の「高殿(永代)タタラ」と呼ばれるもの「近世タタラ」になる。

 菅谷永代タタラ(近世タタラ)



 G 古代から明治時代まで、日本の鉄需要の大部分を供給していた。
 H 明治30年代になると廉価な外国産鋼材の輸入が活発になると同時に、幕末期に日本に移入された洋式高炉法製鉄が軌道に乗るに及んでタタラは急速に衰微の道を辿り、大正期にはタタラの火が完全に消えた。【八幡製鉄所創業は、明治34年(1904年)】
 I その後、タタラの和鋼がないと日本刀が作れないこと、そして同時に日本の伝統技術の保存の意味も兼ねて、日本美術刀剣保存協会(日刀保)が1977年、島根県横田町に「日刀保タタラ」を建設し、現在も日本刀の刀匠に玉鋼を供給している。
 J 公益財団法人日本美術刀剣保存協会(〒151-0053東京都渋谷区代々木4-25-10)

C. タタラ式製鉄法

 タタラ形式の炉にて木炭で諫言しながら鋼を製造。
 銑鉄段階がない。直接製鋼法。⇔間接製鋼法(熔鉱炉製鉄法)。

 タタラと溶鉱炉との比較


 @ ヒ(けら)(ケラ)押し法:原料・・真砂砂鉄(出雲・伯耆)。
 不純物の少ない物。 炭素含有量 1.0%前後。 鋼鉄(刃鉄・和鋼・玉鋼・ケラとも云う)。 鍛冶師・・鋼鉄を鍛造して武器等を製作。
 A 銑(ずく)(ズク)押し法:原料・・赤目砂鉄(石見・山陽諸国)。
 鋼鉄を作るのに適しない物。 炭素含有量 2.0〜4.0%。 鋳鉄(銑鉄・和銑・ズクとも云う)。 鋳物師・・鋳鉄を湯の如く扱う。
 B 左下法:原料・・鋼鉄・鋳鉄を取った残部。
 炭素含有量 0.4%以下。 錬鉄(卸金・和鉄・包丁鉄とも云う)。 鍛冶屋・・錬鉄を鍛錬して農具等を作る。
 ○ 鉄穴流し⇒タタラ炭焼き⇒築炉(地下3m・地上1m)⇒タタラ操業⇒タタラ取り出し

D. タタラ用語

取庭 砂鉄の採取作業場。
鉄穴(カンナ)流し 水を利用して、岩石から砂鉄を取る方法。
小鉄・粉鉄(コガネ) 砂鉄のこと。
 山小鉄:山から直接取り出す砂鉄。
 川小鉄 : 川に流れて留まっている砂鉄。
 浜小鉄 : 海辺に打ち上げられている砂鉄。
真砂(マサ) 磁鉄鉱分を主とした砂鉄。見た目は、黒色。
赤目(アカメ) 赤鉄鉱分を主とした砂鉄。見た目は、赤色。
天秤鞴(テンビンフイゴ) 送風装置。
番子(バンコ) 鞴を四昼夜、鋼が吹き上がるまで交替で踏み続ける者。「代わり番子」の語源。
皮鞴(カワフイゴ) 鹿などの動物の皮で作ったフイゴ。古代のタタラ。局部的に温 度を上げる。
山内(サンナイ) 5ku位の広さがあり、警察・司法権まで含めて「一国」をなし ていたタタラ製鉄地域。
山内者 山内に住む定住の技術者とその家族。
村下(ムラゲ) タタラ場の技師長。
炭坂(スミサカ) ムラゲの補佐役。
炭焚(スミタキ) 木炭をくべる人。
炭町(スミマチ) 屋内で木炭が積み上げられている一隅。
小鉄町(コガネマチ) 屋内で砂鉄が積み上げられている一隅。 ・鉄倉(カネクラ) 製品の鉄を納めて置く倉。
米倉(コメクラ) 食糧の米を納めて置く倉。
長屋(ナガヤ) 山内の社宅のこと。
一代(ヒトヨ) 送風開始からケラが取り出されるまでの四昼夜の間のこと。
        一代のヒ : 1,200貫、砂鉄4,000貫、木炭4,000貫。


石山テクノ建設株式会社 顧問 坂本良高


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