RCラーメン構造
マンションやビルに多い構造形式の、鉄筋コンクリート造の耐力壁付きラーメン構造が大地震で壊れる仕組みと、大地震に耐えるために必要な耐震性能について考えてみます。
建築物の構造形式
ラーメン構造 | 中高層の鉄筋コンクリート建物、鉄骨造ビル |
ブレース構造 | 低層の鉄骨造、在来軸組み工法(木造) |
壁式構造 | 低層の鉄筋コンクリート建物、2×4工法(木造) |
トラス構造 | 三角形の集合体で、橋梁やドーム屋根の大空間に用いられる |
柱と梁を剛接合で一体化して骨組みを作る構造をラーメン構造と言い、鉄筋コンクリート造の場合は、RCラーメン構造と呼びます。
※「ラーメン」は「枠」という意味です。
【柱:鉛直方向の部材】
柱は、梁と接合され建物の骨組みとして、建物の全重量を支える部材です。
【梁:水平方向の部材】
梁は、床や屋根の重さを支える部材で、地震時に水平方向の力に抵抗し建物の変形を抑えます。
【耐力壁】
柱と梁の接合部が完全に固定され、地震の横揺れによる水平方向の力がかかっても接合部が回転・変形しにくくなり、建物全体で地震力に耐えようとします。
耐力壁付きラーメン構造は、ラーメン構造の面内に耐震壁を配置した構造で、柱と梁からなるラーメン構造部分が鉛直荷重を負担し、耐震壁が水平荷重を負担します。
マンションやテナントビル等の一般的なRC造の建築物に用いられます。間仕切り壁や雑壁は耐震壁ではありません。
鉄筋コンクリートは、コンクリートと鉄筋とが一体となった構造で、RC(Reinforced Concreteの略称)とも呼ばれます。
コンクリートは圧縮には強く引張りには弱い材料で、鉄筋は圧縮には弱く引張りには強いという性質を持っています。
普通コンクリートの圧縮強度は一般的に24N/mm2(2.4kg/mm2)で、これは1mm2のコンクリート面に約2.4kgの圧縮力が加わっても破壊されない強度となります。
(圧縮強度:耐圧試験機を使用してコンクリート供試体に荷重を加え、供試体が破壊するときの最大荷重(N)を供試体の断面積(mm2)で除して求めた値)
1㎡で換算すると2.4kg/mm2×1,000,000mm2=2,400,000kg(2,400t)/㎡となりますので、体重60kgの人では40,000人(ちなみに甲子園球場総座席数は47,400席です)もしくは、体重6トンのゾウでは400頭、が乗っても壊れません。
鉄筋コンクリート造の建物に生じる地震力は重量に比例します。
1階では上階の全荷重が掛かりますので、非常に大きい力が生じます。
RC造建物の柱に掛かる荷重を考えてみます。
例えば柱間隔(スパン)が6mの建物と仮定します。
内部の柱1本が受け持つ面積は6m×6mで36㎡になり、一般的な荷重として13kN/㎡ で換算すると、13×36=468kN(47,755kgf)の荷重が柱1本に掛かります。
1階の柱には上層階の全荷重が掛かります。
10層が上部に乗っていると仮定すると、上層の全重量として468kN×10=4,680kN(477,551kgf)の荷重が1階の柱に掛かります。
この建物の柱の幅が0.7m×0.7mと仮定すると断面積は0.49㎡となり、
477,551kgf/0.49㎡=974,594kgf/㎡=9.6N/mm2 の荷重による圧縮力が、圧縮強度24N/mm2のコンクリートに掛かっている状態になります。
この様に、コンクリートは圧縮力に対して非常に強い材料ですが、引張強度は圧縮強度の約1/10~1/13で、曲げ強度は約1/5~1/8程です。
コンクリートは引張に弱いので、引張に強い鉄筋でそれを補います。
鉄筋の引張強度はコンクリートの圧縮強度の10倍以上あります。
ざっくりと、鉄筋の降伏強度の約1/10が、コンクリートの圧縮強度で、その強度の更に約1/10がコンクリートの引張強度になります。(この強度比較はN/mm2単位での比較です)
更にざっくりと、柱だけでのこととして、最低限必要とされる最小鉄筋比を柱全断面積の0.8%として、柱断面が上記の700×700の柱では、700x700x0.008=3920mm2が鉄筋の全断面積になります。
仮に鉄筋径をD25とすると鉄筋の断面積が507mm2/本なので、3920/507=7.7で8本以上必要と言うことになります。
「ご参考」
建物に生じる地震力、「迫り来る震度7」その3 建築基準法と大地震
コンクリートに関して、コラム:コンクリートについて
次の写真は、RC造建物の耐震診断で、既存コンクリートの圧縮強度試験のために、壁からコンクリートコアを採取した写真です。
鉄筋や鉄骨の鋼材は、引っ張って伸ばしたときに破壊せず 引き延ばされる延性と呼ばれる性質があり、コンクリートと一体化することで、コンクリートの圧縮力と鉄筋の延性を活かした性能になります。
鋼材(鉄筋)は錆びやすい材料ですが、コンクリートで被覆されコンクリートのアルカリで錆の発生を防止しています。
中性化でpHが11程より低くなった場合や、塩害などで塩化物イオン(Cl-)がコンクリート中に進入すると、鋼材表面の不動態被膜が破壊され、錆が発生します。錆により鉄筋が膨張しコンクリートの表面が割れて押し出されます。
コンクリートの中性化はコンクリートそのものの強度に影響を与えることはありませんが、鉄筋と一体化した鉄筋コンクリートとしての強度を落としていることにほかなりません
鉄筋コンクリートが地震により、どのように損傷したり破壊されるのでしょうか?
建物を支えている柱が破壊されると、建物を支えることが出来なくなり倒壊に至ることになります。
建物に損傷や破壊を生じさせる地震エネルギー
コンクリト構造物に限らずですが、地震の揺れによる建物への影響について考えてみます。
仕事※をすることができるエネルギーにはいろいろなものがあります。
・運動エネルギー
・位置エネルギー
・熱エネルギー
・電気エネルギ
・化学エネルギー
・光エネルギー
・核エネルギー(核分裂、核融合)
※ここでの仕事は物理学での仕事です。
地震とは、地下の岩盤が周囲から押される、もしくは引っ張られることによって、ある面を境として岩盤が急激にずれる現象のことをいいます。この岩盤の急激なずれによる揺れ(地震波)が周囲に伝わり、やがて地表に達すると地表が揺れます。
つまり、地震は波による運動エネルギーです。
出典:地震調査研究推進本部」防災・減災のための素材集より引用
地表が揺れると建物も揺れ、地震のエネルギーが建物に伝わっていきます。
建物に伝わる運動エネルギーにより建物がひずみ、損傷や破壊を生じさせます。
①の様に建物が全くびくりとも変形しなければ、建物には損傷が発生しないはずですが、実際は②の様に、建物を変形させる作用※が生じます。
※ここでは、建物の固有周期や共振現象に関しては省略します。
この現象は、日常でも感じることが出来ます。
電車やバスやエレベーターなどの乗り物で、スピードを上げる時や減速するとき、傾かせる力が働いているような感じになります。
この時、傾かせる力として物体に慣性力が働くとされますが、慣性力は見かけの仮定の力で実在する力ではありません。
実際は慣性の法則で、人やつり革が元の位置に留まろうとする現象により、移動するバスに引っ張られるために傾きが生じます。
地上の建物にも同様の現象が生じます。
倒れそうになって踏ん張っている状況は、地震時の建物も同様です。
この現象は、ニュートンの運動に関する三つの法則(1.慣性の法則,2.運動の法則,3.作用反作用の法則)に従ったものです。
第1法則(慣性の法則)
物体は外部から作用を受けなければその速度は一定である。
動いているものは動き続け、止まっているものはいつまでも止まっている。
止まっていることと、一定速度で動いていることは同じです。
静止した地面?
地球は一定速度で自転していて、日本ぐらいの場所での自転速度は時速1500kmにもなります。
地面に建つ建物は全て自転速度と同じ速度で移動しており、重力※以外何ら力を受けずに地面に対して垂直に静止した状態のままです。
※(特には影響のない余談)重力は引力と遠心力の合力で、遠心力は自転軸の北極や南極で0、赤道で最大になり、重力は北(南)極と赤道では、約0.5%の差があります。
地震時は一部の地面が加速度を持って激しく揺れ動き、その揺れの影響を受けることになります。
あり得ないですが、仮にモーーレツな急発進をされると転んでしまいますね!
加速度(と作用する時間)が大きくなるほどに、転んでしまう影響も大きくなります。
第2法則(運動の法則)
物体の加速度は物体に作用する力に比例し、物体の質量に反比例する。
この数式はF=maとなり、これが「運動方程式」です。
力:F(N)=質量:m(kg) × 加速度:a (m/s2) で、地震の揺れで建物に生じる力も同様です。
第2法則(運動の法則)の例
物体に生じる力に関して、重さ(質量)と力(重量)の関係について確認します。
体重測定
体重測定で、体重が60kgだったとします。
これは、秤を押し付ける力(重量)が60kgfもしくは60kg重となりますが、単位がkg(もしくはN)だと重さ(質量)が60kg(588N)だということになり、地球上では重量と質量を同じに扱っている面がありすこし混乱します。
ちょっとややこしい話ですが、
例えば、月で体重を測ると、質量60kgは変わりませんが、重量は月の重力加速度が1/6なので、地球で測る体重の約1/6の10kg(98N)になります。木星で測ると体重は約24倍の144kg(1411N)になります。
これは、力:F(N)=質量m(kg)×加速度a (m/s2)の具体例で、体重測定の場合での加速度は重力加速度になります。
建物は垂直荷重(自重)に耐えるとともに、地震時には地震時荷重(水平荷重)に耐えることが求められます。
例えば、モ~~~レツな急発進で、以下のようなあり得ない状態になった場合を無理やり想像して頂くと・・・
以下の状態で傾いている時に実在している力は、重力と張力の合力が、質量mの物体に加速度αで生じた力Fと等しい状態です。
とんでもない加速で急発車するバス車内で必死につり革にしがみつき宙づりになっている乗客の状況
第3法則(作用反作用の法則)
物体が他の物体に力を及ぼす時、その物体は同じ大きさの反対向きの力を他 方の物体から受けている。力がつり合っているとき、2つの力は同一線上にあり、逆向きで大きさが等しい。
第3法則(作用反作用の法則)の例
例えばビリヤートや綱引きが該当します。
綱引きでどちらにもピクリとも動かない静止状態の時(・・・は無さそうですが、その状態を無理やり想像して頂いて)では、力は同一線上にあり、逆向きで大きさが等しい状態と言えます。
コンクリート構造物が壊れる力
構造物や部材に外力が加わると変形が生じます。
【外力と変形の関係】
※他の図も含めて、イメージの為傾きや変形を大げさに表現しています。
変形により構造物や部材の内部に部材を破壊する力が生じることが原因です。
物体に力(荷重)が加わると、反対向きに同じ力の反力が生じます。
物体内に生じる内力(応力)は、外力の作用に応じて物体内に生ずる外力と釣り合う作用・反作用の一対の力で、物体内の仮想の断面相互間に働く力で断面力と呼ばれます。
例えば、壁に固定されているロープを引っ張ると壁に反力が生じています。
この時、ロープ内のあらゆる個所の断面にも一対の力が作用しています。
仮にロープを切断すると、即座に引っ張ている人が後ろにひっくり返ることが容易に想像できますが、これは一対の力が離れて引く力だけになるからです。
物体が変形している時に、部材内部の断面には断面力が生じています。(断面力は応力または内力ともいいます)部材の損傷は、この力によって生じます。
部材に生じる断面力には、軸力・曲げモーメント・せん断力が有ります。
【外力と変形と応力の関係】※ねじりの場合はねじりせん断力が加わります。
軸力・曲げモーメント・せん断力により、鉄筋コンクリートに圧縮応力・引張応力・せん断応力が加わり損傷や破壊が生じます。
倒壊は柱や梁の構造部材の損傷が進んで破壊されることにより、建物の荷重を支えきれなくなることにより発生します。
曲げとせん断によるひび割れ
コンクリートに引張応力が作用しひび割れが発生しますが、鉄筋コンクリートに生じるひび割れに、「曲げひび割れ」と「せん断ひび割れ」が有ります。
「曲げひび割れ」
曲げ変形で引張と圧縮が生じて、引張側のコンクリート表面に生じる引張応力でコンクリート表面からひび割れが生じます。
「せん断ひび割れ」
基礎、柱、梁、壁、床などの部材に加わるせん断力で、部材断面にせん断応力が生じますが、部材の斜め方向に圧縮力と引張力が生じます。
斜め方向の引張力を「斜張力」と呼び、斜張力に直交する方向にひび割れが生じます。
曲げとせん断による破壊
部材の強度を超える過大な曲げモーメントやせん断力が生じると、部材が破壊します。
「曲げ破壊」と「せん断破壊」
曲げ破壊:柱では柱頭・柱脚付近で発生します。主筋が降伏し靭性的な破壊です。
せん断破:柱では中間付近で発生します。帯筋が切れ主筋が座屈し脆性的な破壊です。
靭性:外力に対しての粘り強さ
脆性:外力に対してのもろさ
1)曲げ破壊
曲げ破壊は、破壊に至るまでに粘り強さ(靭性)があります。
引き伸ばされたとき元の状態に戻れる弾性の範囲を超えると、元の状態には戻れない塑性に性質が変わり破断せずに伸び続けることが出来ます。
弾性限度を超えて、応力がガクンと下がりひずみが増大する状態となります。 その状態のことを降伏、降伏が現れる点を降伏点と呼びます。
【曲げモーメントによる変形の過程】
→引張でコンクリートに曲げひび割れが発生
→鉄筋に応力が集中し、鉄筋が降伏
→部材断面が降伏
→かぶりコンクリートが剥落し、軸方向の鉄筋が座屈
→圧縮側コンクリートの破壊あるいは引張側鉄筋の破断により破壊
と、変形が大きくなるに従い損傷が段階的に進み、降伏後の粘り(塑性変形)により一気に破壊に進むことは有りません。
損傷が軽微な状態ではひび割れを補修して使用継続することが可能です。
粘り強さは、鋼材の持つ性質です。
鉄筋は折り曲げ加工することが出来る材料です。
配筋の時に、真っ直ぐの鉄筋だけでなく、鉄筋を折り曲げて定着させたり、フックを付けて付着力を高めることを行います。
鉄筋や鉄骨の鋼材には、引っ張って伸ばしたときに破壊せず 引き延ばされる延性と呼ばれる塑性的な性質があります。
弾性:力を加えると変形し、力を除くと元に戻る性質
塑性:力を加えると連続的に変形するが、力を除いても変形が残る性質
延性:塑性の一種で、材料が延ばされる性質
靭性:破壊されづらい粘り強い性質
2)せん断破壊
せん断破壊は、ひび割れ発生後、粘りが無く一気に破壊する脆性的な破壊です。
せん断力による変形
→コンクリートにせん断ひび割れ(斜めひび割れ)が発生
→軸方向の鉄筋の降伏がないまま、ひび割れ直後破壊に至る
せん断破壊の危険性は
・耐力を急激に失う
・部材が鉛直力を負担できない
ことで一気に破壊に至る脆性破壊です。
脆性:あまり変形しないで破壊する脆い性質(対語は靭性)
せん断破壊は、部材が急激に耐力を失う脆性的な破壊の為、靭性的な破壊である曲げ破壊が先行するように断面設計されます。
【1971年(昭和46年)建築基準法施行令改正】
1968年十勝沖地震(M7.9:震度5)の地震被害で、被災地のRC建物で腰壁により変形が拘束された柱でせん断破壊が発生した為、柱に粘りを持たせて、せん断破壊を防止するよう柱の補強規準が見直されました。
「曲げ降伏」が一気に倒壊に至ることを防いでいる
新耐震基準の、大地震時に(RCラーメン構造物で)一気に倒壊することを防ぐ仕組みは、柱や梁がせん断破壊する前に、柱と梁の接合部(梁の端部)が曲げ降伏し塑性ヒンジ化することで、徐々に変形しながら地震のエネルギーを吸収して、粘り強さで地震の揺れに耐えることです。
ヒンジは蝶番(丁番)のことで、開き戸や箱の蓋を開閉できるようにするため取り付けられる金具のことです。
塑性ヒンジは回転剛性が無い(曲げモーメントに対する抵抗が無い=曲がりやすくなる)だけで、鉛直、水平に力を伝達することが可能で、柱・梁は直ちに破壊されることなく塑性変形で地震力を受け止めます。
以下の図は、「平成7年兵庫県南部地震被害調査報告書」のRC造及びSRC造建造物の特定地域における全数調査結果で各年代別総数の損傷分類を比率%でグラフ化したものです。
旧耐震基準でも、無被害から軽微の建物が約77%を占めていることが分かります。
旧耐震基準の大破~倒壊が約6%で、新耐震基準では約1%と安全性が高まっていることが分かります。
【RC造及びSRC造建造物の各年代別総数の損傷分類】
建物被害の甚大化
地震の揺れが大きくなるほどに、耐震性能の低い建物ほど大きな被害が生じます。
【日本建築学会「1978年宮城県沖地震被害調査報告書」のイラストを元に再作図】
軽微 | 微少なひび割れ、仕上げの補修で復旧できる程度の被害 |
小破 | タイル剥離、ひび割れ等修繕が必要な被害 |
中破 | 大規模な補修・補強が必要な被害 |
大破 | 建替えが必要な致命的な被害 |
倒壊 | 建物の全部又は一部が倒壊な致命的な被害 |
例え新耐震基準の建物であっても、地震規模、地下構造、建物に生じる多様な力(圧縮・引張・曲げ・せん断・ねじれ・回転等)の影響で損傷が増大し、大破から場合により倒壊に至る大きな被害を受ける危険性が有ります。
「国土交通省ウェブサイト」熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について に掲載されている、平成 28 年( 2016 年)熊本地震における 建築物被害 の 原因分析 を行う 委員会報告書の、「4.1. 2 鉄骨造 ・鉄筋コンクリート造等」で、
旧耐震基準の建築物 については、耐震診断及びそれに基づき耐震改修された鉄骨造建築物及び鉄筋コンクリート造等建築物には、倒壊・崩壊の被害は見られなかった。
新耐震基準は、柱 はり 接合部 における不十分な溶接方法等により倒壊又は大破した鉄骨造建築物や、下階壁抜け柱が多く存在するピロティ構造でピロティ層が大破した鉄筋コンクリート造建築物が複数確認された。
又、4.1.3 免震建築物で、
免震建築物は、概ね期待された性能を発揮した。しかし一部に、ダンパーの基部となる鉄筋コンクリート造部材の破壊など、地震時に作用する力が伝達できず、期待する性能が発揮されなくなるおそれのある破壊が見られた。
・・・と報告されています。
終局限界状態(構造物や部材が大変形や破壊などを起こして安定性や機能を失う状態)以下に留まることを耐震性能の目標としていますが、構造物が壊れるもので造られている限りは、その構造物が持つ耐震性能の限界を遥かに凌駕する巨大地震が今後も発生する可能性が有ります。
強いと思っていても、相手が更に強ければ持ちこたえることは出来ません。
地震の揺れに耐えるために、箱型の建物ではなく、三角形のピラミッドの様な建物や・・・
日本古来から残存する、五重塔のような建物では・・・
現代社会の日々の生活を営むための建物としては成立しません。
現代社会の建造物は、人々の日々の暮らしに欠かせない利便性・経済性・安全性・快適性などの多様な要求性能を満たしています。
しかし、現在日本各地で多発する地震や豪雨などによる自然災害に対して、決して安全安心とは言えない脆弱性を有している側面が有ります。
まずは、建物の現在の耐震性能を耐震診断で判定し、必要な耐震補強を計画することが大切です。
耐震診断とは、旧耐震基準で設計された既存の建築物を、現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することです。
又、新耐震基準の建物であっても、例えば1階がピロティ構造の建物では、阪神淡路大震災や熊本地震で倒壊被害の発生率が一般の建物よりも高かったことから耐震診断・耐震補強をご検討ください。
耐震補強工法の種類
耐震補強の目的は、地震時の揺れによる構造物の損傷を抑えることに有ります。
【代表的な補強方法】
マンションなどのRC造建物では、以下の方法が有ります。
① 強度を増大させる方法
a)耐震壁の増設
b)鉄骨ブレースの増設
c)そで壁の増設
d)壁の増し打ち(壁の増厚、開口の閉鎖による雑壁から耐震壁へ の変更)
② 靱性(粘り強さ)を向上させる方法
a)柱のせん断補強(柱断面の増大、炭素繊維シートを巻く、帯板を巻く、鉄板を巻く等)
b)腰壁、たれ壁にスリットを設置し、柱の長柱化を図る
③ 偏心率、剛性率を改善し、建物全体のバランスを改善する方法
④ 免震または制振で地震力を低減する方法
①②③は、建物自体での方法です。④の制震(制振)は、建物に伝わる地震エネルギーを免震装置で吸収し低減します。免震は、免震装置で地震エネルギーの建物への入力を低減します。
国土交通省ウエブサイトで「マンション建替え等・改修について」の情報が掲載されていますが、その中の「マンション耐震化マニュアル」で、耐震改修工法がまとめられていますのでご参照ください。
「出典:国土交通省 マンション耐震改修マニュアルより引用」
機械や装置が壊れることを前提とし、異常発生時でも、安全側に動作することで人命を危険に晒させない手法としてフェイルセーフが有りますが、大地震に対して事実上壊れない柱や壁にすることができる耐震補強工法として、構造品質保証研究所のSRF工法が有ります。(SRF工法に関しましては、構造品質保証研究所ウェブページのSRF工法(耐震被覆)をご参照ください)
弊社はSRF研究会の会員企業として、RC造・木造建物でSRF工法による耐震補強の設計施工を行っております。
【コスパ最強】地震に弱いピロティ建物に最適な耐震補強
SRF工法による耐震補強工事例をご紹介します。
京都府・大阪府・滋賀県・奈良県で、耐震診断・耐震補強に関するご相談は、「構造物の医者」の石山テクノ建設に、お気軽にご相談ください。
電話でのお問合せ: 075-682-4377(代)
(平日 9:00~17:00)
石山テクノ建設株式会社は、皆様のくらしの安全と安心を、補修・補強・耐震補強技術でサポートします。
ご参考ページ
「迫り来る震度7」その6 南海トラフ地震前に関西で直下型大地震の可能性は?
「迫り来る震度7」その7 南海トラフ地震による西日本大震災に備えるための耐震補強の重要性
「迫り来る震度7」その8 大地震で建物が壊れる原因と対策(RC造編)
「迫り来る震度7」その9 大地震で建物が壊れる原因と対策(木造編)①
「迫り来る震度7」その10 大地震で建物が壊れる原因と対策(木造編)②
「迫り来る震度7」その11 大地震で建物が壊れる原因と対策(木造編)③
「迫り来る震度7」その12 大地震で建物が壊れる原因と対策(木造編)④京くみひもと縄がらみ技法で古民家を強くする
「迫り来る震度7」その13 擁壁が壊れる原因と対策①その擁壁は大丈夫ですか?