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佐渡ヶ島は新潟の沖、北緯38度線の日本海に浮かぶ島。以前から一度は行って見たいと思っていたがやっと実現した。 1泊2日の短い滞在で、1日目は景観学会で会議と懇親会、2日目に佐渡のふれあいガイドに朝8時から昼2時過ぎまで佐渡を案内してもらった。 ガイドには前日見学先の打合せを簡単にしていたとはいえ、私の意図を理解して、短い時間のなかで、充実した佐渡の観光を段取りして頂いた。 3ヶ所のタブノキの群生地を案内してもらった。タブノキは図鑑によると、暖かい西日本に適し、風害に強い、耐潮性あり、煙害、防火力大で、着火点が380度、発火点475度とある。 森づくりに取り組む学者の宮脇昭は、タブノキ一本は消防車一台に相当する防火力があると言っている。樹木の中では最も高いレベルで、災害防止に役立つ樹木なのだ。佐渡は対馬海流の影響で、 暖かく、雪もあまり積もらないので、タブノキが群生するのは不思議でない。海岸伝いに青森まで分布していて、常緑樹なのに耐寒性もある。このスケッチは大佐渡の北側で常緑樹のシキビの 生育北限を越えた海岸線の、道路と防波堤の間の法面に群生していたタブノキである。クスノキ科だがクスノキとは幹も葉も似ていない。クスノキに比べると荒々しい感じで 、庭園樹としては一般的にあまり使われない。造園の目的なのか、防災の意図もあるのかわからないが、東京には大名庭園だった芝離宮などにタブノキは意外に多く使われている。 木材としては、魚箱の板材としてよく製材されていた記憶がある。赤タブは床柱にも使われていた。ずいぶん前に床柱に使用することを試みたが、床柱としての製品はなく、 山から伐採して作らなければならず、断念した。木材や家具等として使われていたようだが、使用された物を見たことがなかった。それがつい最近鹿児島市内の喫茶店のテーブルに使われているのを、 見かけた。赤みがかった堅そうな肌合いは独得の魅力があった。 小林一彦建築設計事務所 小林一彦
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