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目次
1. コンクリートの歴史
コンクリートは、基本的には、石と石を、結合材を用いて一体化したものです。
この結合材の歴史は、古く、古代文明にまでさかのぼります。紀元前数千年に、エジプトでは焼石膏とナイル川の泥土を混ぜたモルタルがピラミッドの石材の目地として用いられ、メソポタミアでは消石灰がレンガ造の目地として使用されています。
また、ギリシャでは寺院の礎石間に、空気中で硬化する性質(気硬性)の石灰モルタルが充填されています.
紀元前数世紀にローマでは、水と反応して硬化する性質(水硬性)のセメントを用いた石灰モルタルを、寺院の壁や防波堤の石ブロックの充填材として使用され、砂利やレンガ片を混ぜたコンクリートも用いられました。
ローマ人は水硬性セメントをそ肌ざわりから「Cementus」(ざらざらしているの意)と呼んだそうです。なお、コンクリートの語源はラテン語の「Concretus」(混合するの意)です。
1824年イギリスのレンガ職人Aspdinが、石灰石と粘土を粉砕して混ぜたものを高温で焼成して粒塊(クリンカー)を作り、これを粉砕して人工のセメントを製造する方法を発明しました。このセメントの硬化物が、イギリス・ポートランド産の石灰石ポルトランド石によく似ていることからポルトランドセメントと名づけられました。
こうして出来たポルトランドセメントに砂、砂利を混ぜることにより現在のコンクリートが出来あがってきました。
2.コンクリートの成分
コンクリートは、主にセメント、水、骨材(粗骨材、細骨材)の材料で作られます。
その他、コンクリートの打込み時の作業性を改善したり、硬化後の耐久性や水密性を向上させる目的のための材料として各種の混和材料があります。
コンクリートに対しそれぞれの役割は次の通りです。
①.セメント
水と反応して硬化する際骨材相互を結合させ、コンクリートの強度を発揮させるも
のです。結合させるのり(paste)のような役割からセメントに水を加えて練り混ぜた
ものをセメントペーストといいます。
②.水
セメントの硬化を助け、コンクリートの打込み時には、その作業性をよくします。
③.骨材
コンクリートの体積を増大させ、コンクリートの打込み時の作業性を改善すると共に、硬化後には、強度を発揮させます。
骨材には大きさ、重さ、産出や生産方式の違いによりいろいろな種類分けをしています。
大きさでは、5mmの大きさを境に粗骨材と細骨材に区分されます。
5mmのふるいに重量で85%以上とどまる骨材を粗骨材とし、85%以上通る骨材を細骨材と規定しています。
重さでは、比重が2.6前後(岩石の比重は、一般に2.6)の骨材を普通骨材、比重が2程度より軽い骨材を軽量骨材、3程度より重い骨材を重量骨材と呼んでいます。
産出や生産方式による種類では、河川などでの自然作用によって岩石からできた骨材を砂、砂利といい、採取した場所により川砂、川砂利、山砂、海砂などと呼んでいます。
岩石を人工的に破砕して粒度を調整したものが砕砂、砕石です。溶鉱炉から鉄を分離した溶融スラグを自然冷却し、個化したあとに破砕したものが高炉スラグ砕石で、急令して粒状にしたのが高炉スラグ砂です。
コンクリートの一般的な組成は、骨材が容積で約70%を占め、それを結合し一体化 するセメントなどの結合材や空気などが約30%です。
3.コンクリートの性質
コンクリートの一般的な性質は、次の通りです。
①.圧縮に強い
コンクリートに最も求められる強さが、圧縮に対する強さー圧縮強度です。硬化したコンクリートは、10cm角で約20~30トン(車10~15台分)のものを乗せることができます。<
②.引張りに弱い
コンクリートが純粋に引っ張られた時に壊れる強度がコンクリートの引張強度です。引張強度は圧縮強度が高くなるほど大きくなりますが、圧縮強度の1/10~1/13程度と極めて小さいものです。
③.収縮によりひび割れを起こす
硬化したコンクリートは、吸水によって膨張し乾燥すれば収縮します。乾燥収縮の基本的な因子はセメントペースト自身の収縮とされていますが、このスピードは初期に急速に進み時間がたつにしたがいゆるやかになってきます。
長時間にわたって継続しますが、通常1年以内に多くは、収縮し、その量がひび割れの発生を大きく支配しています。
コンクリートが乾燥収縮した場合自由に収縮できるとひび割れは発生しません。
次図の様に拘束されて収縮が妨げられると発生します。
収縮ひび割れの防止法として、次の方法が考えられます。
1).水量の少ない配合を考える。
2).散水養生を実施する。特に、硬化初期(0~7日)のコンクリート表面に対する散水および常時湿潤状態に保つための作業は不可欠。
3).誘発目地の設置 等
④.中性化するー炭酸ガスが性質を変える
コンクリートは、本来アルカリ性で鉄筋コンクリートとした場合鉄筋の防錆に寄与しています。<BR>
しかしながらコンクリートは、空気中の炭酸ガスの影響を受けて、コンクリート中の水酸化カルシウムがしだいに炭酸カルシウムになり、次第にアルカリ性を失ってきます。
この現象を中性化といいます。 [Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O]―中性化の化学式
密実なコンクリートほど中性化の速度は遅くなります。
鉄筋コンクリートでは、 中性化に対しては、密実なコンクリートとすることとコンクリートの必要な被り 厚さを確保することが重要です。仕上げも効果的です。
4.まとめ
コンクリートについては、書き出すと一冊の本になってしまいます。
現状のコンクリートといえば生コンとなってしまいほとんどのことがブラッボックス化されています。
今後コンクリートには、高強度化、高流動化などの性能が求められ設計者としてもっとコンクリートのことを知る必要があると感じています。
参考文献
建築構法(建築技術)
「ザ、生コン」(建築技術)
コンクリート工学1998/9(日本コンクリート工学協会)
セメントの常識((社)セメント協会)
トチオ構造設計室VOL.1
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