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国交省、熊本地震分析結果より現行耐震基準を維持

現行の耐震基準を維持 国交省、熊本地震分析踏まえ

日経新聞2016/10/6
国土交通省は5日、熊本地震の建築物被害の分析結果を受け、現行の耐震基準を維持する方針を明らかにした。1981年に導入された現行の耐震基準は同地震でも有効性が確認されたと評価。今後は中古住宅を含めて現行基準が求める耐震性能の確保を目指す。
リフォーム時に現行基準の耐震性能が確保されているかどうかを確認する効率的な方法を今年度中をめどに取りまとめる・・・

・・・とのことです。

有識者検討委が9月12日、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造のいずれも「現行基準を満たした建物の倒壊はほとんどなかった」と分析し、現行基準を有効とする報告書をまとめ、国交省はその報告書を踏まえて耐震基準の見直しが必要か検討するとしていました。

熊本地震の建築物被害の分析結果は、国土交通省 報道・広報のページで、平成28年9月30日に、「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」報告書のPDFが公開されています。
報告書の最後で、「4.調査結果を踏まえた総括」の4.2建築物の被災後の機能継続等についての中で、
〇建築基準法は、建築物の構造等に関する最低の基準を定めたものであり、今回の熊本地震のような大地震に際し構造部材や非構造部材において損傷が生じないことや、被災後に継続して使用できることまでを要求しているものではない。

・・・ことに対する認識が重要です。

現行の基準法の目的は1度の大地震での建物の倒壊を防ぎ人命を守ることで、そのための最低限の耐震性能を規定しています。

最大震度7の大きな揺れが同じ場所で2回発生した熊本地震では、前震と本震には耐えたが、その後も続く大きな余震で建物が倒壊するケースが起きています。想定外の事態に対して、国交省は耐震基準の見直しを含め検討する方針だったはすですが・・・・
国交省は、1981年に導入された現行の耐震基準は同地震でも有効性が確認されたと評価し、現行の「1度の大地震」の耐震基準を維持する方針となりました。

4月中の半月で1093回の余震が発生し、震度6強以上が4回も発生しています。

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気象庁「平成28年(2016年)熊本地震の関連情報」より

木造建物では1981年の改正以降に、2000年(平成12年)の建築基準法改正(新・新耐震基準と言える)にて以下の点が整備され現在に至っています。
1)地耐力に応じて基礎を特定。地盤調査が事実上義務化。
2)構造材とその場所に応じて継手・仕口の仕様を特定。
3)耐力壁の配置にバランス計算が必要となる。

つまり、建築年が1981年以降の新耐震の建物であっても、2000年以前の建物は
・柱頭・柱脚の補強金物が規定されていない。
・壁のつりあい良い配置についての規定がない。
ことになります。
新耐震であっても、2000年以前に建設された木造住宅では、ぜひ耐震診断を行い必要に応じて補強されることをお勧めします。

◆◆ 2017.6 追記 ◆◆

平成12年(2000年)以前の新耐震基準の木造住宅に対する助成制度について

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の木造住宅での耐震診断や耐震補強に対する助成制度(補助金)が有りますが、近年、昭和56年(1981年)6月1日以降~平成12年5月31日以前に建築された新耐震基準の木造住宅へ適用範囲を広げている自治体が増えてきています。

例えば近畿圏では、大阪市や寝屋川では補助対象の項目を「平成12年5月31日以前に建築された」ものとしています。2000年以前の新耐震基準の木造住宅にお住まいで、耐震診断・耐震補強を検討されている方は、一度各自治体(市町村)のホームページや窓口で助成対象かご確認ください。又、(一財)日本建築防災協会のホームページで上部ボタン「相談窓口・支援制度」→左側メニュー「耐震化に対する支援制度(自治体)」のページで「各地方公共団体等の住宅・建築物の耐震化に関する支援制度一覧」をダウンロードできます。

国土交通省のホームページで減税の情報が有ります。

各税制の概要のページ

各種の住宅のリフォームに利用可能な税制特例が有ります。

・住宅ローン減税【所得税、個人住民税】
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置【贈与税】
耐震改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】
・省エネ改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】
・バリアフリー改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置【所得税、固定資産税】
・同居対応改修に関する特例措置【所得税】

【長期優良住宅化リフォームに対する減税措置】

1981年の基準法改正以降の新耐震基準の建物では、旧耐震基準の建物での耐震改修としての補助や減税措置は受けられません。しかし、2015年4月1日からの新築住宅に対して施工された省エネ基準が2020年をめどに義務化される予定です。法改正が行われるたびに住宅性能が型落ちすることは避けられません。省エネのみならず耐震性も含め長期優良住宅化リフォームを検討されることは将来的な資産価値の観点からも意義があります。

住宅税制のページの平成29年度税制改正の(詳しくはこちら)に資料があります。

その国土交通省の資料の中にある概要の図です。

①耐震性の確保②省エネルギー性の確保以外に耐久性向上改修が必要です。

【耐震改修に関する特例措置】

旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)により建築された住宅を現行の耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合させる耐震改修を行った場合について、当該耐震改修に係る標準的な工事費用相当額(上限:250万円)の10%がその年分の所得税額から控除されます。
適用期限:平成21年1月1日~平成33年12月31日
【所得税の投資型減税(住宅ローンの借入れの有無にかかわらず利用可能)】

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法

国土交通省及(一財)日本建築防災協会より、平成12年改正以前に建築された木造住宅に関する「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」が発表されました。

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法の公表について(平成29年5月16日

(一財)日本建築防災協会のホームページで、

新耐震木造住宅検証法

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)
本協会は国土交通省から依頼を受け、昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた木造住宅を対象として、耐震診断よりも効率的に耐震性能を検証する方法(新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法。略称「新耐震木造住宅検証法」)を作成いたしました。以下に関連資料等を公開いたしますのでご活用願います。
・・・とのことで、

木造住宅の耐震性能チェック(所有者等による検証)所有者等向けリーフレット

があります。

耐震診断ではなく検証です。

所有者等による検証(簡易なチェック項目により検証)と、更に専門家による一般診断に準じた方法による効率的な検証(現地調査は行わず、所有者等による図面や写真等による検証)を行い、その結果がNGの場合に耐震診断や耐震補強を行うというものです。

効率的な手段=耐震診断よりも簡便な方法により、必ずしも全てが現行基準法を満たしていないわけでは無い平成12年(2000年)以前の新耐震基準の木造住宅の耐震性能を確認する手段という意味になります。

平成12年(2000年)以前の新耐震基準の木造住宅に対しても、効率的な検証法のように、現状の耐震性能の確認をしやすくし、補助制度の適用も平成12年(2000年)以前まで拡大されてる自治体もありますので、ぜひご活用下さい。

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