宅地擁壁の簡易点検の方法

昨年に続き今年も各地で豪雨被害が発生しています。

今後も繰り返し豪雨被害に見舞われる危険性が高く、事前の安全対策がますます重要になります。

擁壁とは、高低差のある土地に、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物です。

擁壁のある土地の所有者は、擁壁の維持管理責任があると見なされますので、地震などで擁壁が倒壊し事故が発生すると、損害賠償責任が生じます。

自然災害が多発していますので、建物だけではなく擁壁の点検や補修補強が安全安心な社会づくりに不可欠です。

 

現在の建築基準法に適合していない擁壁は「不適合擁壁」と呼ばれます。

建築基準法が施行される以前に造作された、あるいは何らかの事情で建築確認申請が出されていない、または建築確認申請をしたのに検査済証など証明する書類が存在しないような擁壁のことです。

豪雨被害だけでなく、地震被害で崩壊した擁壁も多く有ります。
まだ新しいコンクリート製の擁壁でも、2メートル以下の擁壁の場合は構造計算など行われず強度が低い場合があります。

擁壁の点検用のチェックシート

各自治体のホームページで公開されていますが、その根拠になっているものは、国土交通省の、我が家の擁壁チェックシート (案)です。

・・・本チェックシートは、擁壁の危険度を概略的に知りたい住民の方を対象に作成したものです。構造物である擁壁は時間の経過と共に老朽化したり、雨や地震によりひびが入ったり傾いたりしますが、その危険度の程度が住民の方にわかりにくいため、本チェックシートを利用することにより、住民の方に、ご自分の住宅地の擁壁の安全性について、関心を持っていただき、おおまかな危険度のチェックができるように作成したものです・・・

・・・チェックシートで安全と判定されても日常の点検を続けられることが、また安全度が低いと判定される場合はより詳細な調査をされることが、適当と考えられます。・・・

とのことで、もし、擁壁で不安な個所が見られる場合、一度チェックされることをお勧めします。

チェックリストの判定結果は下記になります。

以下は、上記表の「宅地の安全度」の個所で、建築技術2021.03「宅地擁壁の危険度評価区分」の「評価内容」にある地方自治体の行政担当者向けコメントが、内容をより具体的に示していますので引用しました。表現は少し変えています。

点数の最大値危険度評価区分評価内容

5.0点未満

小さなクラックなどの障害について補修し、雨水の侵入を防止すれば、当面の危険性はないと考えられる宅地擁壁です。
5.0点以上

9.0未満

 変状程度の著しい宅地擁壁であるが、経過観察で対応し、変状が進行性のものとなった場合は継続的に点検を行い、変状等の内容及び規模により、防災工事の必要性についても検討を行う必要性が有ります。
9.0点以上

 変状などの程度が特に顕著で、危険な宅地擁壁である。防災工事を行い、周辺に被害を及ぼさないようにする必要性が有ります。

軽微なひび割れも、長期間放置していると劣化の原因になりますので、適切な補修を行うことで、安全性を維持することが出来ます。

変状程度が著しい場合は、経過観察の上、合わせて防災工事の計画を立てておくことが大切です。(急な対応を迫られる前に、工事が必要な場合のコストを事前に掌握しておくことが大切です)

変状程度が特に顕著な場合は、周辺に被害を及ぼす危険性が有り、早急な防災対策工事が必要です。

又、目視観察による擁壁の変状確認と共に、豪雨や地震時で発生している擁壁崩壊に見られるように、現在の建築基準法に適合していない「不適合擁壁」で、空石積み擁壁の補修・補強は防災対策の上で重要です。

 

更に判定マニュアルで、詳細な内容のもので、宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)が有ります。

国土交通省の資料は「案」となっています。地方自治体のホームページでは、国土交通省HPへリンクされている場合や、地域の特性を加味したものとして公開されている場合も有りますので、公開されているものが有ればそちらでチェックしてみましょう。

【例】
横浜市 「擁壁・がけ調査票」及び「既存擁壁外観チェックシート」

その他、先ほどの国土交通省HPで擁壁を含めた宅地全般の地震被害に関して下記ページが有ります。
わが家の宅地安全マニュアル

建物に関わる土地の安全性を再確認することも大切です。