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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

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耐震補強の意義


 日本列島は、4つのプレート境界上にあり海溝型の巨大地震が発生し、内陸では活断層による直下型の大地震
による被害が繰り返し発生します。

 1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震による阪神淡路大震災以降、日本の国土は地震活動期と言えます。
  2011年東北地方太平洋沖地震以降も各地で地震が発生し、2016年熊本地震で大規模地震災害が発生しました。

少し遡って1900年代からでは、さらに多くの巨大地震による甚大な被害が各所で発生しています。
大地震は、いつどこで起こっても決して不思議なことではありません。




地震波によって生じた地表面の地震動により様々な建物が揺れます。

地震動は下記の周期が混ざり合ったものです。



 大きな揺れで建物が傷むと元の状態に戻れない損傷(塑性変形)が進みます。

弾性変形内に留まれる地震は、震度5程です。





震度6強~7の地震では、繰り返しの地震により建物に生じる損傷が進み、倒壊に至る危険性が高まります。

耐震補強工事とは地震で建物が倒壊するのを防ぐための工事です。

阪神淡路大震災では死者の8割が住宅の倒壊などによる圧死でした。
住宅の耐震は、地震から命を守るために欠かせません。



【ご存知ですか?最低限の基準としての建築基準法】

第一章 総則 第一条
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。 (抜粋)

 一度の震度6強から震度7の地震に対して、建物が倒壊や崩壊しない程度の強さを意味しています。
 建築基準法を守ることにより大地震に対しても十分な安全性を備えていると考えがちですが、大地震では住宅の被害はどの程度になるでしょうか?



倒壊を免れても、実情は住み続けることが困難な状況に至るレベルです。
又、余震(繰返しの地震)に対しては規定が有りません。 余震による繰返しの揺れに対し「倒壊や崩壊しない」という規定はありませんので、建築基準法をクリアしているから大丈夫と言うことにはなりません。

RC建物の耐震補強工法

【 RC建物の耐震基準の変遷 】






 旧耐震設計法では、1971年以前の耐震設計基準によって設計されたRC建物は、柱の帯筋の間隔が広く耐震性能的に大きな問題を抱えているといえます。

【耐震補強の基本的な考え方】


 耐震補強の目的は、地震時の揺れによる建物の損傷を抑えることに有ります。
その方法として、強く強固にして耐える方法(図の様に踏ん張って耐える)と、しなやかに揺れに合わせる方法の2通りが有ります。

【代表的な補強方法】

① 強度を増大させる方法
  a)耐震壁の増設
  b)鉄骨ブレースの増設
  c)そで壁の増設
  d)壁の増し打ち(壁の増厚、開口の閉鎖による雑壁から耐震壁へ の変更)
② 靱性(粘り強さ)を向上させる方法
  a)柱のせん断補強(柱断面の増大、炭素繊維シートを巻く、帯板を巻く、鉄板を巻く等)
  b)腰壁、たれ壁にスリットを設置し、柱の長柱化を図る
③ 偏心率、剛性率を改善し、建物全体のバランスを改善する方法
④ 免震または制振部材を設置する方法
⑤ 建物の重量を軽減する方法


【補強例】



在来工法
鉄筋コンクリート壁を増設することで、耐力と剛性を向上させます。


ブレース工法
開口部に鉄骨ブレースを設置することで、耐力とねばり強さを向上させます。

 
3Q-Wall工法
3Q-Wallは、騒音や振動を軽減し工期短縮を目的に開発された耐震補強壁の総称です。

 
3Q-Brace工法
3Q-Braceは、分割された鋼管を組立て内部に配筋しグラウト注入する工法です。


木造住宅の耐震補強工法


【 木造住宅の耐震基準の変遷 】



特に耐震改修が必要なのは、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅です。(1981年以前には大地震に対する規定は有りません)

費用が掛かることでためらう人が多いのが実情ですが、自身のみならず地域社会を守る上でも耐震化の促進は重要な課題です。

防災対策は最悪を想定してこそ本当の防災対策であり、自分たちの地域は自分たちで守るための対応策を予め準備することが重要です

 建物は大地震時に大きな変形が生じると各所に損傷が生じて元に戻れなくなる塑性化が発生します。

 【地震による木造建物の損傷】



 変形は高さと水平方向に生じたズレの量の比率(ラジアン)で判定されます。
例えば、1階高さ2730mmで2階床に生じたズレ(水平変位)91㎜では1/30となります。
水平変位が22.8㎜では1/120になります。
 


 建物が地震や台風による水平力で変形していくときの性能を決める指標は、弾性範囲での壁や接合部が傷む直前の「損傷限界」と、損傷による塑性化が進み倒壊直前の「安全限界」です。












 建物自体が揺れると、損傷が無ければ元の状態に戻れます(弾性)が、損傷が発生すると傾きが元に戻れなくなります(塑性化)。

弾性(だんせい) 力が加わると変形するが、力が無くなれば元の状態に戻る性質。

塑性(そせい) 力が加わって変形したとき、変形が残り元の状態に戻れなくなる性質。

ラジアンと建物の損傷度合いの判定は下記様になります。
 

木造建物では、安全性を考慮した変位は1/30が目安になります。

繰り返しの地震による建物の損傷の増大を押さえることがとても重要です。

【 共振作用が建物の被害を増大します 】
 どんなに震度が大きくても、強い揺れだと感じても,建物が倒壊しなければ安全です。
 比較的短い周期の波で強く揺すられると、柱と梁の接合部がゆるんで固有周期が長くなり、 周期がやや長い地震動に大きく作用(共振)します

建物の固有周期と地盤の周期が一致すると、お互いの揺れを増幅する現象が起こります。
これが共振作用です。
地震の時に共振作用が起こると建物がさらに大きく揺れることになります。



 東北太平洋沖大地震は0・5秒前後から20 秒以上という広い範囲の周期 の地震動が発生し、東京都内 では、超高層ビルから木造家屋や低層建築まで、全て のタイプの建物を激しく揺らす特徴的なものでした。

いろいろな木造住宅の固有周期の目安は次のようです。
  最近の頑丈な木造家屋 0.1~0.3 秒ほど
  古い木造家屋 0.3~ 0.5 秒ほど
木造住宅はほぼ0.1 秒から0.5 秒までの範囲に分布しています。

 木造家屋など建物を押 し倒す力を持つ周期1 秒前後の 「キラーパルス」と呼ばれる周期の振動波が阪神・ 淡路大震災では多く発生し、特に「震災の帯」に見られる軟弱 地盤で木造家屋に壊滅的な打撃を及ぼすことになりました。



 木造建物は弾性体ではなく、小さい変形時から荷重-変形曲線の関係がある弾塑性体で、塑性状況によ り建物の周期は異なります。 生活振動(常時微動)は、弾性体として建物の固有周期で振動します。
 大地震時では大きな力が建物に加わり、わずか数回の揺れで早期に損傷が拡大し周期が伸びます。
  この伸びた周期を「等価周期」と呼びます。等価周期は、弾性周期の4- 6倍程で、固有周期0.3 秒 では等価周期は1.2~1.8 秒となり、「キラーパルス」に共振することで建物の損傷が拡大していきます。



 建築基準法を守れば大地震に対しても十分安全な耐震性を備えているわけではありません。
 建築基準法の耐震性能は、あくまで「最低限の基準」であり、「震度6強の地震が来ても倒壊しない」という程度のものです。震度7の地震では倒壊する場合もあります。 また、キラーパルスや余震(繰返しの地震)に対して考慮されているわけではありません。

 建物の損傷を抑える手段として「耐震」が有ります。

「耐震」は、筋交いや構造用合板等で補強され大地震時での損傷を低減することが出来ます。しかし繰り返しの地震による塑性化は避けられませんので損傷が進んでいきます。

損傷が進むことを防止する手段として「制振」があります。

「制振」とは耐震構造の持つエネルギー消費に加えて、振動を抑制するための制振ダンパーを付ける構造です。
 制振ダンパーが効果的に地震エネルギーを吸収することで建物に加わるダメージを抑えます。 「耐震」+「耐震」により、建物自体の耐震性能を確保し、制振ダンパーを設置することで大地震時に早期に塑性化が進行し倒壊に至ることを防止することができます。