活断層と日本列島

昨年は熊本地震・鳥取県中部地震と内陸部で地震が続けて発生しました。
地震への備えとして、連鎖する地震のメカニズムを知ることは重要です。
最新の情報をもとにわかりやすく解説されている書籍をご紹介します。

巨大地震はなぜ連鎖するのか「活断層と日本列島」
佐藤 比呂志 著
NHK出版新書 2016年7月10日 刊

第1章 熊本地震はなぜ起きたのか
第2章 日本列島はプレートの交差点にある
第3章 こうして日本列島が誕生した
再4章 活断層と震源断層
第5章 南海トラフ巨大地震に挑む

以下抜粋******************
・日本列島には地震を起こすことが可能なたくさんの震源断層が分布している
が、リスクの評価されているのはそのうちの一部で有ることを理解しておく必
要がある。
・いたずらに恐怖心を煽られずに、そのリスクを知って被害を最小限にとどめる
努力が必要である。
・活断層は周期を予測することは困難。
鳥取県西部地震や福岡県西方沖地震のように、これまで活断層が確認され
ていなかったところでも地震が発生している。熊本地震のようにすでに活断
層が確認されている地域では、地震のリスクは高かった。
自分自身の身の回りのどこに危険が潜んでいるかを考えることが重要。
******************抜粋終わり

南海トラフによる地震の周期は90~150年です。前回の昭和南海地震はマグニチュード8と規模が小さかったため、次の南海トラフ地震はマグニチュード9と、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震クラスが想定され、今度の間隔は短いとみられており、1946+89=2035年ごろには発生する可能性があります。
まだ20年ほど先のことになりますが、その間に西南日本の内陸部のどこかで大地震が発生するであろうことに対する必然性を本書より読み解くことができます。

如何に地震大国日本と向き合うかについて、資源やエネルギーの観点から解説された書籍が昨年末に発刊されています。

面積あたりGDP世界一のニッポン「地震と火山が作る日本列島の実力」
横瀬 久芳 著
講談社 2016年12月20日 刊

序章 科学者が体験した熊本地震
第一章 活断層が生む豊富な水資源
第二章 火山と活断層が生む豊富な水資源
第三章 噴火がもたらす豊かな土壌
再四章 地熱エネルギーは世界三位
第五章 鉱物資源は地震と火山のコラボレーション
再六章 活断層型地震は実はシンプル
第七章 予測可能だった熊本地震

以下抜粋******************
私たちは火山災害や地震のおかげで有り余るほどの資源を享受しつつ、豊かな生活を送っている。
日本のような「自然災害の巣窟」では、いってみれば「ハイリスク・ハイリターン」の宿命を背負って生活せざるを得ない。
大規模自然災害の場合、その規模の大きさゆえ、完全なるリスクヘッジが不可能なのは確かだ。だから、防災という言葉は似つかわしくない。
しかし、完全とまではいかないまでも、生命を脅かす壊滅的な事態だけでも避けること、すなわち減災ができれば、被害を最小限にとどめ再起への可能性が残せる。
******************抜粋終わり

突然、ドドドドドドドーーーーーン!というケタタマシイ音と振動がマンションを襲った。・・・とご自身の地震体験から始まる本書は、火山や地震から得られる恩恵に焦点を当て、常に自然に対して畏敬の念を抱きつつ共存するという姿勢が大切なことを説いています。

日本列島の形成過程との関連では、参考図書として、

日本列島の誕生
平 朝彦 著
岩波書店 1990年11月20日 刊

地球の歴史(下)
鎌田 浩毅 著
中央公論新社 2016年10月25日 刊

が、参考になります。

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