木造建物の耐震基準

2016年熊本地震では、2度目の震度7の本震で多くの木造住宅が被害を受けましたが、新耐震基準の木造住宅にも被害が発生しています。

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地震の震度と建物被害の参考値として、平成22年度の内閣府防災白書に木造建築物の全壊テーブルか有ります。

木造全壊テーブル

グラフ

赤色(旧築年)・・・昭和36年(西暦1961年)以前
緑色(中築年)・・昭和37年~昭和56年(西暦1981年)以前
青色(新築年)・・・昭和57年(西暦1982年)以降

1981年に耐震基準が見直されて、1981年以前を旧耐震基準と呼ばれています。
この旧耐震基準の木造建物では震度7で90%以上が全壊予想となっています。

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【木造建物の建築基準法の変遷の概要】

1950年(昭和25年)建築基準法制定
床面積に応じて必要な筋違等を入れる「壁量規定」が定められた。

1959年(昭和34年)建築基準法の改正
床面積あたりの必要壁長さや、軸組の種類・倍率が改定された。

1971年(昭和46年)建築基準法施行令改正
基礎はコンクリート造又は鉄筋コンクリート造の布基礎とすること。
風圧力に対し、見附面積に応じた必要壁量の規定が設けられた。
・現行基準よりも壁量が少ない。

1981年(昭和56年)建築基準法施行令大改正 新耐震設計基準
・柱頭・柱脚の補強金物が規定されていない。
・壁のつりあい良い配置についての規定がない。

2000年(平成12年)建築基準法改正(新・新耐震基準と言える)
1)地耐力に応じて基礎を特定。地盤調査が事実上義務化。
2)構造材とその場所に応じて継手・仕口の仕様を特定。
3)耐力壁の配置にバランス計算が必要となる。

【耐震性の区分】

1980年(昭和55年)以前 (旧耐震基準)
大地震時に危険性が高い
(震度7の地震では90%以上が全壊と想定)
1981年(昭和56年)~2000年(平成12年)(新耐震基準)
耐震診断を行うことを推奨
(震度7の地震では新築年でも50%以上が全壊と想定)

2000年(平成12年)以降 (新・新耐震基準)
一度の大地震に対しておおむね安全

近年、住宅被害が多く見られた大地震で被害の少なかった住宅は、2000年の現行基準で建てられたものが多く、見方を変えれば、新耐震基準でも1981年~1999年の間に建てられた住宅は、耐震診断の上必要に応じて耐震補強が必要な場合があります。

更に、2000年以降であっても、建築基準法は 「一度の大地震に対して、おおむね安全」 な基準であることに注意が必要です。

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築年の古い建物では、耐震診断・耐震補強がとても重要です。

各都道府県の耐震診断・耐震補強の補助金制度を活用することも有用です。

耐震補強とはどのようなことを行うのでしょうか?

ご参考に・・・

日本建築防災協会の「木造住宅の耐震改修の費用 -耐震改修ってどのくらいかかるの?- 」

「木造住宅耐震改修マニュアル」や「 木造住宅 耐震リフォーム事例集 」で検索すると各都道府県のパンフレットが有ります。