「迫り来る震度7」その12 大地震で建物が壊れる原因と対策(古民家編)①縄がらみ技法で古民家を強くする

祇園祭の山車は優れた耐震構造です

 京都・祇園祭の山鉾巡行が、全国から沿道に詰めかけた大勢の人たちを魅了します。
 高さが26メートルほども有る山鉾が、ガタン・ガタンとゆれるごとに、飾りや搭乗者が揺さぶられます。

 巡行中は、縦揺れ横揺れが連続している状態で、建物で言えば「地震状態」と言えますが、鉾は全く破壊もされず柔軟に揺れを吸収し復元します。

山や鉾(ほこ)と呼ばれる山車を路上で組み立てる「山鉾建て」

 祇園祭りの鉾は釘1本使うことなく、わら縄だけで組み立てられる鉾建て技術の「縄がらみ」技法で櫓(やぐら)の部材が組み立てられています。

「耐震補強に鉾建て技術の縄がらみ技法を応用」

鉾は柔構造であり、伝統構法の古民家も木造で同じ柔構造です。

 仮に鉾を釘や金物で組み立てていたとすると、巡行中にバラバラになってしまいます。

 伝統構法の古民家も硬く強くして地震に耐えるようにするのではなく、「自然な変形を許す」耐震構造が重要です。

「SRF工法+縄がらみ」による柔軟で強靭な耐震構造

 まず、柱と梁の接合部の補強に「SRF工法」を使用しました。

 強度と柔軟性を併せ持つSRF工法は、古民家の耐震補強に最適です。

【SRF、収震、耐震被覆、及び包帯補強は、構造品質保証研究所の登録商標です】

 丸太にSRFがしっかりと貼りついています。

 更に、SRFの上に京組紐による縄がらみを施工しました。

 わら縄に代わる「縄」の選定で、 「強度があって巻きやすく仕上がりが美しい」ことで 着目したのが「京組紐(きょうくみひも)」です。

 京組紐は、平安時代より神具・仏具、武士の鎧兜(よろいかぶと)、刀の下げ緒など装身具や調度品に広く使われてきました。現代では、主に帯締、羽織紐など和装用として用いられるほか、アクセサリーなどの新しいものもあります。

 多種多様な組紐の中から、耐久性に優れた材質で、かつ巻きやすい直径と美しい色のものを選定しました。

 祇園祭りの鉾建ての伝統技術「縄がらみ」を、構造品質保証研究所のSRFによる補強の上に重ねて施工することで、縄がらみの強靭さを併せ持たせた独自技術の耐震補強です。

 伝統工法で建てられた古民家や京町家の耐震改修に、ぜひご活用ください。

完成後の2階広間の状況です。

 

「SRF工法+縄がらみ」解説動画

ご参考にこちらの動画もご覧ください。

 

 

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ご参考ページ

「迫り来る震度7」その1 震度7とは

「迫り来る震度7」その2 活断層

「迫り来る震度7」その3 建築基準法と大地震

「迫り来る震度7」その4 新耐震基準でも倒壊

「迫り来る震度7」その5 南海トラフ地震はいつ発生?

「迫り来る震度7」その6 南海トラフ地震前に関西で直下型大地震の可能性は?

「迫り来る震度7」その7 南海トラフ地震による西日本大震災に備えるための耐震補強の重要性

「迫り来る震度7」その8 大地震で建物が壊れる原因と対策(RC造編)

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