この度の2016年熊本地震で、木造家屋の被害が広範囲に発生しています。
被害状況から、この度の地震で1995年の阪神淡路大震災で甚大な木造家屋に被害を発生させたキラーパルスの影響が報じられています。
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日経アーキテクチュア
東日本大震災の3倍、熊本地震の地震動を分析
筑波大・境教授の地震動分析(1) 2016/04/15
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/041500007/
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周期1~2秒の揺れは「キラーパルス」と呼ばれ、木造家屋に大きな被害をもたらす特徴があります。
今回の熊本地震では旧耐震基準の古い木造家屋以外に、築年の浅い新耐震基準の木造家屋の被害も発生しています。
下記資料は専門的な内容ですが、木造家屋の地震の影響に関してまとめられていますので、ぜひ一度内容を確認されることをお勧めします。
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日本地震工学会誌(第9号 2009年1月)
特集:地震動の性質と被害 ─近年の地震からの知見
http://www.jaee.gr.jp/stack/mag-j/kaishi09.pdf
・・・1995年兵庫県南部地震による強震動地震学における最も重要な発見の一つは、震源アスペリティーから発生する指向性パルス(キラーパルス)の存在である・・・1-2秒に大きな弾性応答をもった地震動が木造建物、中低層非木造建物といった、日本の大部分を占める建物に対して大きな被害を引き起こす・・・1995年兵庫県南部地震では、1秒程度のパルス1波で多くの建物が甚大な被害を受けた・・・
この、早期に甚大な建物被害が生じる現象を、筑波大学境有紀教授の論文「地震動の性質と建物被害の関係」で詳しく解説されています。
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「単純共振説」
いろいろな木造住宅の固有周期の目安は次のようです。
最近の頑丈な木造家屋 0.1~0.3 秒ほど
古い木造家屋 0.3~0.5 秒ほど
木造住宅はほぼ0.1秒から0.5秒までの範囲に分布しています。
建物の固有周期と地震動の周期が一致すると、共振現象により揺れが大きくなり、ついには破壊に至る.
「2段階破壊説」
固有周期0.2秒前後の建物が、地震動の周期0.2秒成分と「単純共振」し建物が強く揺れて、柱と梁の接合部がゆるんだり、耐震壁などにひび割れが入ったりして、建物の構造が少しずつゆるむ塑性化が発生。
在来構法の木造住宅では、1/120以下が弾性範囲です。
弾性(だんせい、elasticity)
力を加えると変形するが、除荷すれば元の状態に完全に戻る性質。
塑性(そせい、plasticity)
力を加えて変形させたとき、永久変形を生じる物質の性質。
建物の構造がゆるむ(塑性化)し、固有周期が1~1.5秒ほどに伸びる。このとき、地震動の周期1~1.5秒成分(キラーパルス)と激しく「共振」し建物の倒壊に至る。
・・・と考えられていましたが、こちらで論じられている論文の結論は、「単純共振説」「2段階破壊説」とは異なったメカニズムで、
「建物被害が弾性応答とは無関係に、等価周期応答のみに依存する」
建物の固有周期は、新耐震・木造2階建て住宅で0.2秒前後、新耐震・鉄筋コンクリート造5階建て(高さ20m)マンションで0.3秒前後になる。
⇒建物は「弾性体」ではなく、実際には、「弾性」と「塑性」の性質を合わせ持つ「弾塑性体」である。
⇒弾塑性体の建物は、強い地震動を受けると、建物の構造がゆるんで(塑性化)周期が伸びていく。
この、伸びた周期を「等価周期」と呼ぶ。
⇒「固有周期0.1~0.5秒の普通の建物(=弾塑性体)」は、周期0.1~0.5秒の地震動とは共振しない。
⇒実際には、「固有周期0.1~0.5秒の普通の建物」は、周期1~2秒の地震動に対応して等価周期で共振する。
0.3秒の弾塑性系に大きな応答を引き起こすのに0.3 ~ 1秒の成分は必要ないことになる。このことは(直感的には理解しがたいが)、被害を受けると周期が伸びる、ではなく、いきなり被害を受けたとしたときの周期で応答するということになる。
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東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、9世紀の貞観地震(じょうがんじしん)の再来ではないかと言われています。
9世紀の日本ではそれ以外に、京都では群発地震が4回発生し、富士山噴火が2回、阿蘇山噴火、関東での大地震が2回、東海・南海地震・・・・と巨大災害に見舞われています。
「京都は大地震が来ない」ということではありません。。
1830年京都大地震が、京都を襲った最後の大地震で、それまで幾度も京都市街で大地震が発生しています。
地震や火山噴火は必ず繰り返し発生していますので、日本に住んでいる限りこれらの自然災害から逃れることはできません。
これからも防災減災を進めて行くことが大切です。
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